こんにちは!
ころん板橋校です。
今日は自己管理(セルフマネージメント)スキルを親御様にペアレントトレーニングすることでお子さんの宿題をするという行動を自立に向かわせた研究をご紹介いたします。
PATRICIA KORZEKWA HAMPSHIRE・GRETCHEN D. BUTERA・SCOTT BELLINI (2016) は自閉症スペクトラム障害のお子さんに対して自己管理(セルフマネージメント)を教え、宿題を自発的にさせるため、親御さんに対しお子さんとの関わり方を教える「ペアレントトレーニング」を行っています。
この研究の参加者は、ASDを持つ5人の中学生です。
支援の開始前に、両親はお子さんが学校にいる間に1時間のペアレントトレーニングを3回受けます。
最初のペアレントトレーニングではセルフマネージメントシステムの理論的根拠と、指導者として必要なことを親に精通させることを目的とします。
2回目のペアレントトレーニングでは、子どもが使用するセルフマネージメントシステム、データ収集フォームの記入方法、子どもとの宿題監視フォームの確認方法、および宿題の完了のための強化方法について親に教えることを目的とします。
そして、3回目のペアレントトレーニングでは、保護者が子どものセルフマネージメントシステムの設計をその子にあった形に個別化しました。
3回のペアレントトレーニングに加え、研究期間中、親は継続的なコーチングとサポートを週に1回受けました。
その後、親と学校と研究者で会議を行い、宿題のシステムを見直すことや、宿題を終了することで得ることができるご褒美になる可能性があるアイテムについて意見が述べられました。
宿題の遂行を大人がリスト化し、お子さんが遂行する度にチェックリストにチェックを入れます。
宿題を行っている間、お子さんは大人からの援助が必要な時は質問をすることで親から助けを求めることができました。
すべての宿題が完了し、チェックリストが埋まった時、お子さんは事前に選択したご褒美やポイントを獲得しました。
お子さんが宿題を終えられなかったり、宿題をすることを拒んだ場合、ご褒美は与えられず、差し控えられました。
宿題時間のあと両親はすべての宿題をチェックし、正確さと完成率を記録しました。
上記のような内容を行うことで、全体の結果として、研究で使用したセルフマネージメントシステムとペアレントトレーニングの組み合わせにより、宿題活動中の自立行動を改善できることが示唆されました。
参加した5人のお子さん全員が課題の独立性のレベルを上げ、親からの指示がなくとも遂行できるようになっていきました。
5人のお子さん全員が宿題の正確性(正答率)を向上させ、5人のお子さんのうち特に苦労をしていた2人についても、成績の向上が見られました。
この研究にあるように、
(1)お子さんが宿題を行う内容を細分化し、もっと細かい課題に分ける
(2)お子さんが(1)を遂行できたかどうか確認する為、データ化できる方法を考える
(3)できた場合に、お子さんに与えるご褒美を工夫する
という、セルフマネージメントのパッケージを、ペアレントトレーニングによって親御様が知って使用することでお子さんが1人で親からの指示がなくとも宿題をやるようになったということでした。
また、個人的には研究中に「わからない時には質問ができる環境を整えておく」こともしていたようで、そのことも自立した宿題行動ができるようになった重要な側面かと思います。
お子さんができるように細分化(スモールステップ化)し、達成できた時には強化していく。
その過程を継続的にデータ収集し、支援方法に間違いがないかどうかモニタリングしながら慎重に進めていく。
いやー、細かい。地味な作業の積み重ねです。
でも、ABAらしいと言えばABAらしいと思います。
ABAは実は、上記のような地味な作業の積み重ねで行っていく方法です。
今後とも、キッズアカデミーころん板橋校をどうぞよろしくお願いいたします。
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【参考文献】
PATRICIA KORZEKWA HAMPSHIRE・GRETCHEN D. BUTERA・SCOTT BELLINI (2016)Self-Management and Parents as Interventionists to Improve Homework Independence in Students With Autism Spectrum Disorders. Preventing School Failure, 60(1), 22-34,